9 巻 (2010) 3 号 p. 299-304
和歌山県内のウメ園の主要な土壌である褐色森林土,黄色土,灰色低地土および岩屑土の養分動態特性についてライシメータを用いて調査した.浸透水中硝酸イオン濃度は,土壌中無機態窒素含量が多い土壌ほど高くなる傾向がみられ,灰色低地土が最も高く,次いで褐色森林土,黄色土,岩屑土の順であった.また,陽イオンはいずれの土壌もカルシウムが多く溶脱し,浸透水中濃度は灰色低地土,褐色森林土が高いのに対して,溶脱量(浸透水中イオン濃度×灌水1回当たり浸透水量)は岩屑土,灰色低地土が多い傾向がみられた.浸透水中の総陽イオン当量は,土壌の種類に関係なく浸透水中総陰イオン当量と相関関係があったことから,主要な浸透水中陰イオンである硝酸イオンおよび硫酸イオンの濃度に応じて陽イオンが溶脱していることが示唆された.このことから,灰色低地土では硝酸イオンが著しく多いために陽イオンの溶脱が多く,岩屑土では浸透水量が著しく多いため陽イオンの溶脱が多いと考えられた.