人間は常に「よりよい」状態を求めるものである。それは実学を成立させてきた人間の本質である。実学において最も重要な要素は有用性である。実学分野における専門性は有用性に応じて評価されるのである。現在まで,乳幼児教育の分野における専門性はそれほど高く評価されてこなかった。乳幼児教育は母親によって行われる本能的活動であり,乳幼児教育は後の教育の準備であると考えられてきたのである。しかし,不確実性の時代が始まり,不確実性の価値に対する探究もまたあらわれてきている。社会変化に応じた専門性こそ,不確実性の社会において必要とされるだろう。とりわけ,乳幼児教育指導者に対するより高い専門性が今後求められるだろう。本論文では,乳幼児教育の価値と重要性について考察し,その結果,乳幼児教育指導者における専門性が近い将来において確立されなければならないことを明らかにした。それは今まで問題にされてこなかった新たな専門性を目指すものなのである。