【目的】高齢担がん患者は高齢に伴う心身機能の低下に加えて、がん治療に伴う心身機能の低下があり、継続的な医学的管理に加えて、日常生活の支援が必要となる。本研究では高齢担がん患者の医療介護の複合的ニーズについて検討する目的で、一般病棟退院後、訪問診療に移行した高齢担がん患者の医療介護サービス利用状況及び予後について検討した。
【資料及び方法】分析に用いたデータは東日本の1自治体の2015年4月から2021年3月までの医科レセプト、介護レセプトである。このデータベースから2015年4月から2019年3月までの間に一般病棟退院直後に訪問診療に移行したがん患者で介護保険サービスを追跡期間中に利用した者を抽出して、訪問診療利用開始後24か月までの医療介護サービス利用状況及び生存率を検討した。
【結果】一般病棟退院後、在宅医療に移行する高齢担がん患者の生命予後は悪く1年累積死亡率は82.8%、2年累積死亡率は87.5%であった。80%以上は退院直後から介護保険サービスを利用していた。利用介護サービスでは訪問介護の利用率が最も高く、次いで訪問看護の利用が多かった。がん治療以外で一般病棟に入院した者は誤嚥性肺炎や肺炎、心不全、尿路感染症などが治療対象であった。
【考察】本分析により、一般病棟退院後、在宅医療に移行する高齢担がん患者の多くが、ターミナルステージにあり、早期に死に至ることが明らかとなった。ただし、核家族化の進んだ今日の状況では、短期間ではあるがターミナルステージの生活を支える介護サービスを80%以上の患者が利用しており、訪問介護サービス関係者を対象としたターミナルステージの高齢担がん患者の介護サービスの在り方に関する研修の必要性が示唆された。
【結論】今後、在宅で看取られる高齢担がん患者が増加することは不可避である。こうした患者の人生の最終段階における療養生活の質を向上させるために、医療と介護の複合的なサービスが必要である。そのためのガイドライン作成、およびそれを用いたケアワーカーの研修体制の充実が求められる。