国際P2M学会誌
Online ISSN : 2432-0374
P2Mフレームワークからみた「休眠預金等活用制度」の社会的インパクト評価の枠組みの研究
小笠原 由佳沖浦 文彦
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 17 巻 2 号 p. 133-152

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抄録
2019年度に開始された「休眠預金等活用制度」は、行政では対応困難な複雑な社会課題を、民間の営利・非営利事業者が主導し、プロジェクトを有機的に組み合わせた価値創造により解決を目指す仕組みである。また同制度には、事業実施報告に留まらない「成果」を把握する「社会的インパクト評価」とそれに基づく事業改善の仕組みが組み込まれている。本論は、同制度による事業を「中長期的な社会課題の解決を目指す民間主導資金提供事業」と捉え、具体事業のケーススタディを含めてP2M理論を適用した分析をおこない、「社会的インパクト評価」の運用上の課題の整理においてP2M理論の有用性を確認するとともに、改善を検討した。その結果、資金提供側と事業実施側と言った関係する主体の差異や、システムモデル型かサービスモデル型など事業の性質の差異があるにも関わらず、同一の評価方法を用いている点が目下の課題であること、また、それぞれの主体が自らの個別ミッションに照らしつつも、事業を統合的に評価することが必要であることなどの改善の視点を明らかとした。
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© 2023 International Association of P2M and Authors

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