2011 年 6 巻 1 号 p. 61-82
1997年のアジア通貨危機では、欧米が世界経済の再生をリードしたが、2008年のリーマンショックには、中国、韓国などアジアの新興国がその牽引役を果たした。行政は産業再生目的に向けてPolicyを立案し、大規模なProgram事業を展開する。そして、企業に多数のProjectによるビジネス行動を誘発する方式が効果を発揮する。わが国は、官民連携によるスマートシティ、ハブ空港、高速鉄道貢献できる機会があるが、反面道路やダム建設の開発事業で住民抵抗も引き起こしてきた。Policy〜Program〜Project連携構図は、緊急問題の打破を教示するが直面する課題克服も多い。本論は海外公共プログラム・リスク防止に向け、P2M理論における事例調査と基本ロジックを論じ「協議型戦略プログラミング手法」を提案する。2011年3月11日発生した東大日本震災は、今後社会インフラ政策と方式の検討に重大な教訓を残したが、本論ではその分析評価には触れない。