関西学院大学先端社会研究所紀要
Online ISSN : 2434-4613
Print ISSN : 1883-7042
論文
紙上「身の上相談」における回答の言語編成
専門性によらない回答実践を中心に
矢﨑 千華
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2013 年 10 巻 p. 1-17

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抄録

本稿は、紙上で行われる「身の上相談」の中でもっとも歴史があり、現在も継続中である『読売新聞』「人生案内」の回答の言語編成を分析・考察するものである。現在目にするような紙上「身の上相談」の原型は、明治後期頃に成立した。当時の回答者は新聞記者であったが、現在では、弁護士や精神科医といった専門家や作家などの著名人によって担当されている。年間300 件ほど掲載されているが、その半数近くが作家によって回答されている。このように多くの場合作家により回答が行われているという事実から、本稿では、特定の専門的知識を用いずに回答を成り立たせている特徴的な言語編成があると仮定し、その言語編成を明らかにした。専門性によらない特徴的な言語編成として、①相談者の訴える問題を再確認する(問題化)、②相談者の訴えを肯定する、③回答の中に回答者自身(「私」)が登場する、という3 つが明らかとなった。相談者の訴えを肯定しつつ問題の所在を明らかとし、相談者と共同性を生成することにより、最終的な解決策の提案の正当性が論理的正しさをもつものとして形成されていくのである。

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© 2013 関西学院大学先端社会研究所
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