国際教養大学 アジア地域研究連携機構研究紀要
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プーチン政権の極東・東シベリアに於ける地域戦略を考える-ロシア極東・イルクーツク訪問記-
竹村 豊
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2016 年 2 巻 p. 45-56

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抄録

プーチン政権は中国を始めとする東アジア及び太平洋地域の経済力を極東・シベリアの経済発展に取り込み、ロシア経済全体を押し上げるべくこれまで置き去りにされてきた極東地域の産業発展に本格的に取り組む体制を構築した。2012年、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議のウラジオストク開催を契機にして、ガスパイプライン建設を含む大規模なインフラ整備が行われ、更にこのインフラ投資を沿海地方始め、極東の持続的な社会経済発展に結びつけるため、極東発展省を設立し、経済特区法を極東地域の実情に合わせた「優先社会経済発展領域法」、「ウラジオストク自由港法」を次々に成立させ、ウラジオストク市とアルチョム市にはカジノを中心とした大型統合リゾート(IR)の建設が認められた。一連の極東地域に於ける非資源型産業育成の施策である。一方、東シベリアのイルクーツク州にはソ連時代からの資源・エネルギー産業の集積を背景にした農業・食品加工業がソ連邦崩壊後の市場経済下、着実な発展を遂げ地域経済を支えるまでの成功例もある。いずれも日本、秋田にとって注目すべき地方戦略である。

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