IATSS Review(国際交通安全学会誌)
Online ISSN : 2433-4537
Print ISSN : 0386-1104
論説
『諸国御客船帳』にみる近世の海運業
-讃岐国粟島と若狭国早瀬をめぐる海上文化史-
河原 典史
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2021 年 46 巻 2 号 p. 105-112

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抄録

本稿では、石見国(現・島根県西部)浜田外ノ浦の清水家所蔵の『諸国御客船帳』(1744〜1901年)を活用し、讃岐国(現・香川県)の粟島と若狭国(現・福井県南西部)の早瀬を事例に、北前船をめぐる海上文化史を論じる。この客船帳には、船印や帆印の他に船名、船籍、船主、沖船頭、入港や出港年月日なども記載されていた。また、売買記録から、当時の商品流通を知ることもできる。瀬戸内海に位置する粟島や若狭湾の早瀬は、日本海沿岸の諸地域と隣接諸国、時には大坂との中継ぎ港として重要な役割を果たしていた。

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