本稿では、運転時に眼にするものが、ドライバーの無意識あるいは意識に作用して交通行動が改善する事例をいくつか紹介する。ドライバーは適切な速度で走行する必要があるが、多くのドライバーは普段、制限速度よりも高い速度で走行している。逆に、地形上の理由でドライバーが気付かずに速度が低下してしまい、渋滞を引き起こしていることもある。また、本来、一時停止すべき場所である、渡ろうとしている歩行者がいる横断歩道において、ドライバーが一時停止しないことも多く見受けられる。こういった運転行動を改善する工夫として、路面等に図形を描画する事例、照明で光の動きを見せる事例、トリックアートを使う事例を紹介する。これらの事例は、行動経済学で提唱されているナッジの事例として捉えることができる。