印度學佛教學研究
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中論三諦偈と十界互具
木村 周誠
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2007 年 56 巻 1 号 p. 184-190

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抄録

周知の通り、伝統的な天台教学では、『法華玄義』巻一上・標章に「隔歴三諦麁法也。圓融三諦妙法也。此妙諦本有。」(大正三三・六八二a)とする記述に基づいて、「圓融三諦」を「唯佛與佛乃能究盡」の「諸法實相」(大正九・五c)と理解し、中論三諦偶に拠って「因縁所生法、即空即仮即中」と説示される空仮中三諦の相互の関係・構造について、「名隨徳用」、「體一互融」といった概念を用いて複雑精緻な解釈を施している。だが、「一切諸法、心性に非ざるなし」とする湛然の「色心不二門」(『玄義釈籖』、大正三三・九一八b)の記述が示すように、円融三諦において存するとされる「諸法」が、色心の二法に摂される一切諸法、すなわち凡夫衆生の認識や感受の対象となる「あらゆる存在」を指示することは自明のこととして理解されているようである。

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© 2007 日本印度学仏教学会
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