印度學佛教學研究
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インドにおける仏典註釈書の引用からみる大乗不退転輪経のインド仏教史への影響
アップル ジェームズ B
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2013 年 61 巻 3 号 p. 1151-1157

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抄録

南インドにおいて幾世紀にもわたって形成された幾百の仏典は「大乗経」と分類されてきたが,それらの歴史的重要性や過去におけるそれらがもたらした影響についてはそれほど知られてはいない.インドにおける仏典の持つ歴史的な影響力を知る一つの方法は,インドで後に制作された註釈書に現れる特徴的な引用を辿っていくことである.この発表では,大乗経を称する不退転輪経の検討とともに,インドにおける仏典註釈書に見えるその経典からの引用を辿りつつ,不退転輪経が歴史的に持っていた重要性について考察したい.本稿では,特にインドにおける著名な大乗仏教の学者である龍樹(2世紀),カマラシーラ(8世紀),アバヤーカラグプタ(12世紀)等の註釈書に現れた不退転輪経からの引用を示しつつ,2世紀から12世紀にわたって本経が有していた重要性について論じていく.最後に,結論として,インドの仏教論者は概して不退転輪経を聖典の権威を示すものとして,以下の4点のうちのいずれかの目的をもって引用したと論述する.(1)一乗思想の主張を裏付けるため,(2)仏陀の用いた意味論的叙述解説(nirukti)を陳述するため,(3)預流(須陀洹),一来(斯陀含),不還(阿那含)等の階位が実は菩薩のものであることを示すため,(4)涅槃の完全な非概念性を示すため.

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© 2013 日本印度学仏教学会
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