印度學佛教學研究
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<金光明経>諸伝本における捨身飼虎本生話
日野 慧運
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2014 年 62 巻 3 号 p. 1194-1198

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抄録

捨身飼虎もしくは婆羅門(又は王子)本生話として知られる,北伝大乗仏典に独特の本生話には,複数の話型が存在する.そのうち摩訶薩埵王子が母虎と七疋の仔虎に捨身するというヴァージョンは,他仏典や図像にも数多く表れる著名なもので,<金光明経>がそのオリジナルとして示されることが多い.本稿では,広く伝播した漢訳『金光明経』『金光明最勝王経』等に見える同話と,梵語原典所収話とに異同があることを紹介し,とくに仔虎の疋数を漢訳では七疋とするのに対して梵本および蔵本では五疋とする点に着目する.その上で先行研究に依りつつ他文献に表れる同話諸ヴァージョンを概観し,仔虎を五疋とする並行話が存在しないことを確認する.これらをもとに,本経のいわゆる原型urtextに収められた同話がいかなるものであったか,そこから伝承の中でいかに変容したかを推察することによって,本経諸伝本の伝承系統に関する若干の考察を試みる.

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© 2014 日本印度学仏教学会
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