印度學佛教學研究
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Sivadityaの年代について
――有神論的知覚定義という観点から――
志田 泰盛
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2015 年 63 巻 3 号 p. 1216-1222

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抄録

Saptapadarthi (SapP)などの著者として知られるSivadityaの年代については,Bhattacharya [1958]が提示した12世紀中葉説が広く受け入れられている.その下限となるBhatta Vadindraの年代についてはIsaacson [1995]により具体的な年代根拠が与えられており,一方で上限基準についてはUdayana(11世紀頃)とされていた.本稿はまずSivadityaの著作や年代に関する先行研究を整理した上で,SapPに簡潔に提示される有神論的知覚定義に焦点を当てる.特にUdayanaの後継者と目され,かつUdayanaとの間に一定の時間的距離が推定されるVaradaraja(ニャーヤ学派)との思想的影響の方向を検討することで,Sivadityaの上限年代を検討する.しかし簡潔な知覚定義の比較だけからは,両者いずれかの先行性あるいは相互不参照という3つの可能性はいずれも消去できず,「SapPの非常に簡潔な内容からSivadityaの年代を論じるのは不可能」というGhate [1909][1914]の指摘を覆すには至らない.ただし知覚定義の箇所におけるこのSapPの簡潔性を根拠としてVaradarajaがSivadityaに先行するシナリオが最も蓋然的と考えられ,その場合Sivadityaの年代は12世紀中頃から後半と推定される.

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© 2015 日本印度学仏教学会
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