印度學佛教學研究
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上座部註釈家ダンマパーラを巡る「二人説」と「一人説」の是非
清水 俊史
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2016 年 64 巻 3 号 p. 1140-1146

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抄録

本稿は上座部の大註釈家ダンマパーラ(Dhammapala)に帰せられる著作群を研究対象として,これまで不明確であったその成立順序と,および真作/偽作の問題を検討した.(1)結論として,ダンマパーラに帰せられる著作群の引用関係を精査することで,その成立順序が,『導論註』→『阿毘達磨復々註』→『小部註』→『清浄道論註』→『ニカーヤ複註』であることが明らかとなった.(2)さらに,ダンマパーラに帰せられる著作群においては,『導論』がパーリと呼ばれ,それに高い権威性が認められており,このような特徴はダンマパーラに付託される著作群においてのみ終始一貫して確認される.従って,『導論』を重視する姿勢は,ダンマパーラの思想における特徴であり,これら著作群の著者が「一人のダンマパーラ」に帰せられることを示している.以上のように本稿では,(1)ダンマパーラに付託される著作群の成立順序と,(2)その著作群が「一人のダンマパーラ」に帰せられ得る根拠を提示した.

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© 2016 日本印度学仏教学会
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