印度學佛教學研究
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『解深密経』に見られる有情の種類
加藤 弘二郎
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2016 年 64 巻 3 号 p. 1211-1216

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抄録

『解深密経』第7章には,三転法輪について説かれる有名な箇所がある.そのうち,「よく区別されたやり方を備えた第三法輪」というのは,7.17(第7章,第17段落を指す,以下同)においてまず「有情たちの様々な信解の順番」を指していることがわかる.その「区別」とは,具体的には,7.18, 7.19, 7.20, 7.23の4つに区分された有情を念頭に置いているのは明らかである.また,それはそれら各段落の冒頭部分において示される,有情の5種類の資質の区別に集約されるものと考えられる.それゆえ,従来から示されてきた声聞/菩薩,小乗/大乗の区別というものを一度解体して,あらゆる乗に趣くあらゆる者たちを,この4種類の有情の区別を用いて教化するという,これまでとは異なる手法によって,第三法輪を考察する必要がある.もちろん,安らかな涅槃へ到達する道のりは,本経7.14で説かれるような「清浄なる一つの道であって,第二の道は存在しない」という点に重点が置かれていることは従来の考えと同様である,ただ,この有情を資質によって区別することこそが,第三法輪で説かれた「よく区別されたやり方」であると考えられ,その区別を前提にして,すべての種姓を位置付け,彼らを7.11-7.13に示された修行道程によって覚らせることが本章の意図であるという点をきちんと踏まえる必要がある.

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© 2016 日本印度学仏教学会
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