印度學佛教學研究
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瑜伽行派における五種姓説の展開
――経典註釈書をもとに――
岡田 英作
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2016 年 64 巻 3 号 p. 1217-1221

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抄録

瑜伽行派は,種姓(gotra)という概念を用いて,般涅槃の到達可能性や菩提の区別を論じる.玄奘を開祖とする法相宗では,五種姓を並べ,いわゆる「五姓各別」説を確立した.従来の研究は,「五姓各別」説の源流をインド仏教文献に辿ることで,スティラマティ(Sthiramati)に帰せられる著作(Sutralamkdra-vrttibhasya)に五種姓説が見出されることを明かし,同説は瑜伽行派において注目を集めるものではなかったと指摘する.しかし,従来の研究では,チベット訳のみ現存するインド仏教文献に関して,『大乗荘厳経論』に対する註釈書を除き,調査の対象となっていない.本稿では,チベット訳のみ現存する瑜伽行派の註釈書,アサンガ(Asanga)著『仏随念註』(Buddhanusmrti-vrtti),ヴァスバンドゥ(Vasubandhu)著『仏随念広註』(Buddhanusmrti-tika),特に,スティラマティ以降の瑜伽行派論師に帰せられる『聖無尽意所説広註』(Aryaksayamatinirdesa-tika)に着目する.まず,『仏随念註』『仏随念広註』における五種姓に関連する解説を通じて,瑜伽行派における五種姓説は,アサンガからヴァスバンドゥへの系譜の中で成立することを指摘する.次に,『聖無尽意所説広註』に五種姓に関連する解説を見出し,五種姓説は,瑜伽行派においてヴァスバンドゥやスティラマティ以降も展開したことを明らかにする.

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© 2016 日本印度学仏教学会
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