2017 年 65 巻 3 号 p. 1136-1142
貝葉写本は長い間パーリ語経典の内容を伝承する主な手段として使用されており,仏教研究にとって貴重な資料である.しかし,貝葉写本の多くはよく保存されず,しかも研究または取り扱いに実用的なフォーマットで記録されなかった.近代の学者たちによるパーリ語研究は長い歴史を持ちながらも,パーリ語経典の貝葉写本のデータベースの作成は,まだ体系的に行われることがなく,パーリ語と仏教学の分野では比較的新しいものである.
この論文では,関連情報の収集に基づきデータベース開発から得られる知識に言及し,貝葉写本の曖昧な文字を解読と転写する方法に関連する課題を示す.タイに保存されるコム文字とタム文字貝葉写本を中心に,ディーガ・ニカーヤ写本の解読やそのデータ入力の解決策を提示する.