印度學佛教學研究
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KauṣU.1.1とSadasya祭官
田中 純也
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2022 年 70 巻 3 号 p. 1045-1048

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抄録

 Kauṣītaki-Upaniṣad 1.1に見られる物語は,パラレルとしてBṛhadāraṇyaka-Upaniṣad 6.2.1ff.とChāndogya-Upaniṣad 5.3.1ff.にも描かれている.しかし,Kauṣītaki-Upaniṣad 1.1中のsadasy eva vayaṃ svādhyāyam adhītya harāmahe yan naḥ pare dadatiは,未だに不明確な記述として理解されている.この記述には主にsadassvādhyāyaの関係が明らかでないという問題があり,先行研究の多くはsadasをソーマ祭と関わりのないものとして理解してきた.しかし,パラレルと異なり,Kauṣītaki-Upaniṣad 1.1の冒頭には祭式を暗示する記述も見られることから,Kauṣītakinに特有の,ソーマ祭における17番目のSadasya祭官に着目した.そして,Kauṣītaki-Brāhmaṇa 26.3-6; 27.1に基づき,sadas小屋とsvādhyāyaの関係を再検討した結果,「他ならぬsadas小屋において,我々は[Sadasya祭官として]svādhyāyaを学習して(prāyaścittaを行い),他の者たちが我々に与えるものを受け取るのである」という従来とは異なる解釈を提示した.

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© 2022 日本印度学仏教学会
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