印度學佛教學研究
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Nyayavarttika における存在者性・知識対象性・表示対象性
細野 邦子
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2006 年 54 巻 3 号 p. 1139-1144

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抄録

ヴァイシェーシカ学派のプラシャスタパーダが, Padarthadharmasamgraha において, 存在性 (astitva)・表示対象性 (abhidheyatva)・認識対象性 (jñeyatva) を6つの padartha に共通する性質としてあげることは, よく知られている. しかし, プラシャスタパーダと同時代であると考えられるニヤーヤ学派のウッディヨータカラも, Nyayavarttika において, 存在者性 (sattva)・知識対象性 (meyatva or prameyatva)・表示対象性 (abhidheyatva) を無常なものおよび常住なものに共通する性質としてあげることは, あまり知られていない. 本稿は, Nyayavarttika におけるこれら3つの性質をとり上げ, 〈存在者性〉の意味, 〈存在者性〉と〈知識対象性〉の関係および〈存在者性〉と〈表示対象性〉の関係を分析することにより, 次の2点を明らかにする. Nyayavarttika において, (1)〈存在者性〉〈肯定的知識対象性〉〈肯定的表示対象性〉は基体を同一にする, あるいは外延を等しくする. (2) 存在論・認識論・意味論が直接に結びついている.

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