2007 年 55 巻 3 号 p. 1144-1149
Saptavidhanuttarapuja はネパール仏教の顕教的儀礼の中でもっとも一般的なものである. この論文ではその儀礼の中で行うターラーの三昧地を八つに分けて考察する. 第一は三帰依である. 第二は三昧地で Mahattaritara を観想成就する. 第三は三昧地で Varadatara を観想成就する. 第四は儀式に使う法具と自分の身口意などを加持する. 第五は自分の身体の部位にマントラを唱えて布置する. 第六は Akanistha 天上界から Aryatara を呼び出すことである. 第七は Aryatara を五仏と四十ターラーといっしょに供養する. 第八は makuta を供養する. ここで論じた Mahattaritara と Varadatara の三昧地は「サーダナマーラー」にある90と91番のサーダナとよく一致する. したがって, Saptavidhanuttarapuja における Mahattaritara と Varadatara の三昧地は「サーダナマーラー」からの引用と考えられる.