電氣學會雜誌
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三相送電線に於ける電氣振動
別宮 貞俊
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1923 年 43 巻 415 号 p. 79-96

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抄録

低周波の經驗によれば大地を歸路とした架空線の自己インダクタンス竝びに互に平行な二線間の相互インダクタンスは、電氣影像の原理から計算したものより遙かに大きいが、これは大地の導電率が無限大でないと考へれば説明が出來る。1914年にK. W. Wagnerは常數を計算するのに電氣影像の原理が用るられるものとして多くの線條が地面に平行に且互に平行に架設してある塲合の理論を展開して、この場合にも單一の線條の塲合の如く光速度に等しい傳播速度を有する進行波が起ると云ふ結論に到達した。
本論は常數間に何等特殊の關係がない塲合に主として三相送電線について論じたものであつて、三線條が完全に對稱であれば起り得る進行波は二種類になり、常數間に特殊の關係があつた塲合にK. W. Wagnerの結果と一致することを示して居る。勿論本論を導き出した根元ににsemi-empiricalな假定があつて、實驗に依つてこれの正否が定められるものであるがある種の擬似送電線に於てはこの議論は正しく成立する。
進行波の速度が二種あることから波動イムピーダンスも二種となり、從來の單一導體の塲合と甚だしく異る結果になる。これ等のことはK. W. Wagnerの結果からも得られるが異る速度の進行波が生ずるから波動イムピーダンスの意義がより明確になると信ずる。

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