電氣學會雜誌
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纎維質電氣絶縁材料の吸濕性に就て
鳥山 四男
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1923 年 43 巻 420 号 p. 677-693

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抄録

種々の纎維質絶縁材料の吸濕性に就き研究した。第一に吸濕度が周圍の濕度により如何に變化するかを觀る爲めに。試料を一定温度一定濕度の容器の中に數日間吊し定常状態に達した後重量の變化を測定した。容器中の濕度は其中の硫酸の濃度を變る事により變化し關係濕度零より九十五パーセントの範圍に於て順次變化して試驗した。
吸濕量と關係濕度との關係を示す算式ば次の知きもので、廣き範圍に於て、實驗の結果と一定するものである。
Q=1/a/H+b-cH
Q=吸濕量を百分率て表したもの
H=關係濕度を百分率て表したもの
a.b.cは試料により異る定數
纎維質絶縁材料の吸濕量は乾燥した状態から濕つた状態に持ち來す塲合と濕つた状態から乾いた状態に持ち來す塲合とで差異がある、即ち復履現象を呈す。
次に容器中の硫酸の濃度を一定にして周園の温度を變化して吸濕量を測定した結果に依ると攝氏二十度乃至六十度の範圍では、吸濕量の變化は少なく、温度の上昇と共に多少重量の減少する事を認めた。
最後に纎維質絶縁材料が吸濕する際の温度上昇を利用して眞空中で實驗を行つた。此方法は絶對的吸濕量の測定には適しないか多くの吸濕性を短時間で比較するには便利である。

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