電氣學會雜誌
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三相擬似送電線の設計建造及び豫備試驗
別宮 貞俊
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1923 年 43 巻 424 号 p. 893-913

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抄録

本論文は電氣試驗所第三部に於て建造した三相擬似送電線の設備の基礎、建造の模様及び二三豫備實驗の結果を記載したものである。先づ三相送電線を模擬するための静電的の條件、電磁的の條件を述べ、殊に電磁的の條件に關しくは諸家の理論及び著者が行つた二回の實驗成績を記載し、本擬似送電線の電磁的定數を算出した基礎を明かにした。
インダクタンス線輪及び蓄電器は特に苦心してその組合せの平衡を計り、502キロメートル1回線或は251キロメートル2回線として使用することの出來る線間電壓5200ヴォルト、100區間からなるII型三相擬似送電線を建造した。完成後その線路定數を測定した結果設計の時と少し異つて256.5キロメートル及び256.6キロメートル總長517.1キロメートルとなつた。またこれに簡單な接續の變更を行へば異つた線路定數の164.2キロメートル、165.6キロメートル總長329.8キロメートルの三相擬似送電線として使用することが出來るし、尚定常状態だけを考へれば同じく100區間より成るII型三相擬似送電線として200.4キロメートル、及び201.9キロメートル、總長402.3キロメートルの三相送電線を代表せしめることが出來る。
線路定數より傳播定數を求め定常状態に於ける沿線の電壓配布を算出し、これが測定値と相當によく一致することを示して居る。
附録には本擬似送電線の建造に要した直接及び扁平線輪のインダグタンスについて行つた豫備試驗の結果を記載して居る。

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