電氣學會雜誌
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海峽連絡無線電信電話
横山 英太郎丸毛 登土岐 重助
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1924 年 44 巻 430 号 p. 443-512

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抄録
本文は主として海峽連絡無線電信電話に關し遞信省電氣試驗所に於て得たる實驗研究の結果を記述したものである。先づ同所に於ける無線電話研究の經路を述べ明治四十五年T. Y .K.式無線電話の發明以來眞空管並に其應用に關する研究に及べる推移の次第より海外と獨立して同時送受話式無線電話有線無線兩電話接續交換法及電信電話線或は送電線に於ける高周波式電信電話の發達を促した道程を明にした。次ぎに上記の研究結果を應用して鳥羽神島間十五粁、青森函館間百十粁、福岡釜山間二百二十粁と無線電話の距離を延長し有線無線接續交換の試驗を行つた次第を説述した。福岡釜出間の試驗は大震災の爲め中止の止むなきに至つたので充分な試驗のDataを取ることが出來なかつたが青森函館間の試驗は比較的詳細に行はれたので其Dataを詳しく擧げて海峡連絡無線電話實施に關する種々の結論を與へた。
青森函館間に於ける第一囘の試驗は大正九年に行はれた。然し電力設備不足の爲めと當時同一局所内にて行はれて居つた火花式無線通信の妨害の爲めとで充分の試驗を遂行するとこが出來なかつた。第二囘の試驗を大正十二年に行つた。此の試驗では電力を増大し送波所と受波所とを數粁分離し在來の火花式無線電信を眞空管式に變更し同時式無線電話と二重無線電信とを同時に實用せんとする試驗を行つた。
無線電話送話装置はプレート變調方式で發振管プレート入力約二百ワツトに過ぎなかつた。受話方法はリゼネレーチブ方式により檢波器と二段可聽周波増幅装置とを使用した。此無線電話を青森仙臺間約三百七十粁及函館札幌間約二百九十粁の有線電話に接續して仙臺幌間に於て實用通話を行ふことが出來た。而して東京札幌間千百十粁の通話を試みられた。無線電信送信装置は發振眞空管のプレートに五百サイクル、二千五百ヴオルトの交流電源を直接使用するものでプレート入力三百ワツトである。其受信機は電話の場合と同じくリゼネレーチブ方式のものを使用した。送信及送話には別個の木柱に懸垂された高さ各三十米及六十米の空中線を、受信受話には同一の木柱に懸架された高さ約四十米の別個の空中線を使用した。使用電波長は公衆無線通信に妨害を與へない様なものを特に撰んだので電信には三百米及四百米、電話には七百米及八百五十米を使用した。此無線電信電話は今尚試驗を繼續して居つて成績良好である。試驗の結果を綜合するに電話は電信に比して三倍の空中線入力を要し使用總入力で比較すると電話は電信の六倍の入力を要することとなり又無線電話の兩端に有線電話を接續した場合で比較して見ると電話は電信の四十八倍の入力を要すると云ふ結論に到達した。
次に無線電話と海底線電話との比較が試みられた。One Channelづゝで比較すると十五粁以上の距離では無線の方が經濟であるが澤山のChannelの場合を考へると種々の點から海底線の方が有利である事を論じ二百粁以上の距離では目下の處無線の獨舞臺である事を述べて居る。
次ぎに青森函館間無線電話と米國アヴアロン、ロサンゼルス無線電話との比較を行つて居る。
其他眞室管式送受法。有線無線兩電話の接續交換法、指向式空中線に關する諸種の研究と青森函館間の試驗に使用された無線電信機無線電話機、有線無線接續交換機及信號装置を詳述した。
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