電氣學會雜誌
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ケノトロン整流器回路の理論
八木 秀次小野 孝
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1925 年 45 巻 439 号 p. 159-172

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抄録

ケノトロン整流器回路の理論は、ケノトロンの特性曲線を考へてすることは非常に面倒で殆んど無用に近いものとなる。
今まで整流裝置の實際的設計の指針となるやうな理論は二三示されてあるが、實用を主眼としてあるために理論的には粗雜な考へ方をしてある。
ケノトロンをば單に電流の逆流を許さぬものと考へ、其の内部抵抗を一定量と取つて理論を進めると、平易でしかも今までのよりは幾分正確に論ずることが出來る。
半波形整流の場合に直流側の電壓は、強制振動の間即ちケノトロンが電流通過を許して居る間はExponentialの項とTrigonometricalの項との和として表はされ、蓄電器の自由放電の間は唯だExponentialの項のみとなる、但負荷にはインダクタンスが無い揚合である。
全波形整流の場合には二個のケノトロンを通る電流の重疊が起らぬ時は半波形整流の時と類似してゐる、しかし重疊を起らせるのが普通のやり方であつて、其の時は蓄電器の自由放電の期間が無くなつて強制振動ばかりであるが、重疊してゐる期間だけは電源がケノトロンを通じて短絡せられた形となつて居る。
次に直流側電壓の脈動を減少する條件に就て考へ、周波數を大にすることゝ蓄電器容最を大にすることゝが有効なることを述ぺてある。
終りにLatour氏の特許を得た整流回路を示し、同じ方法で之れを論じ得ることを示してある。

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