電氣學會雜誌
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Incremental Permeabilityの計算法に就て
二宮 弦
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1927 年 47 巻 464 号 p. 286-299

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抄録

本編は、交流直流兩磁化が、同一鐵心に作用する場合の交流側導磁率が、T. Spooner氏(3)の謂ふやうにncrem ntal permeabilityで表はされるものだとの見地から、それの算出法に就いて述べたものである。先づ重疊作用の本質からincrement l permeabilityとヒステレシス、ループとの關係を述べ、後者の下降部分の曲線をE. A. Watson氏(6)が用ひたと同じ形で數式示し、これに數學的變化を行つてincremental permeabilityを表はす式を求めてある、即ち
μΔ=a0×1/1-b0×ΔH……(17)
或は=a0+b0ΔB……(18)
但しa0=BmHc(Bm-Br)/BrHm(Hm+Hc)……(15)
b0=BrHm-Hc(Bm-Br)/BrHm(Hm+Hc)……(16)
Bm,Br及びHcはそれぞれ交流直流兩磁化が重疊した場合の最大磁化力Hmに對應するヒステレシス、ループの最大磁束密度、殘磁氣、及び保磁力であつて、定つた材料に就ては何れも定數である。
次にT. Spooner氏の與ふるincremental permeability算出の實驗式との比較を行ひ、實驗の結果から同式の無理な點を指摘し、量後に、少しく精密を要する設計には、豫め各種磁氣材料に就いて測定を行ひ、上記の算出式に依てa0b0を求めおくが便利であると結んである。終りに設計用として、二種鐵板に對する曲線が例示されてある。

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