電氣學會雜誌
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ピエゾ共振子の研究*
渡邊 寧
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1927 年 47 巻 466 号 p. 506-528

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抄録

ピェゾ、エレキ共振子のモーシヨナル、アドミツタンスの考察から共振子の電氣的等價定數を定義し、次に此等諸定數の測定方法に就いて二三の著者の方法を述ぶる。此等の諸方法の原理は電氣共振回路に聯結せる共振子の機械的共振振動がこの電氣回路に如何に影響するかを吟味する點に歸するのであるが、簡單に旦つ正確なる測定が出來る。
かゝる新方法を用ひて容易に諸定數を測定し得るので、かゝる測定結果から共振子の諸特性を考察する。例ば共振子と電極との間の空隙が共振子の共振周波數並に機械的共振現象に如何に關係あるかを理論的結果と實驗的結果とを對照して論じられる。或は二對の電極によつて振動態が變化出來る事、又此等振動態の變化と共に等價定數値が如何に變化するかの問題、亦雙晶共振子の高調波振動態から二對の電極によつて基本波振動態に變じ得る特性等を實驗的に示す。尚共振子の振幅を大にせる場合の諸現象-例へば等價定數値の振幅に對する關係、或はかゝる場合のダイナミツク特性のブラウン管に依る觀察、空隙中に於ける火花放電の發生並に電壓増幅作用に對する考察、其他實驗中の諸注意を述ぶる。
共振子の振動態の多樣性に就いて二三の實驗結果を示して、尚幾多の問題が殘されて居る點を見る。
共振子の應用としては普通用ひられてをる用途以外に著者の新に考へ及んでをる電壓増幅効果、周波數調幅作用等に就いて一言を添へ、ピェゾ發振器、ピェゾ周波數安定作用等の諸應用の數多なされてをるに拘はらず、それが研究の極めて少い點を述べて今後の著者の一二の問題に論及してをる。

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