電氣學會雜誌
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三相補償誘導電動機の一型式
杉江 敏雄
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1928 年 48 巻 475 号 p. 160-181

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抄録

三相誘導電動機の一大欠陷である力率不良の問題を解決する一方法としての三相補償誘導電動機は、誘導電動機の二次勵磁作用を利用せるものであるから、誘導電動機と殆んど同じ速度特性を有し、刷子を或る位置に固定せしむれば、其力率が輕負荷より過負荷を通じて90%以上の高力率を保ち得る點に於て著しき特徴を有して居る。而して從來考案發表せられた三相補償誘導電動機の各種の型式のものに就て其長短比較を試み、次に余の考案になる三相補償誘導電動機(特許No. 68805)に就て考察を試み其得失、理論が述べられ、試作機に就て得たる負荷特性、刷子移動特性、電壓の變動による特性の變化、起動特性、整流作用等に且つて詳細な成績が報告せられてある。終りに設計上出力に制限ある事が述べられ、一般工業上に多く使用せられる程度の二三百馬力程度のものには何等の困難なく經濟的に製作し得るのみならず、力率補償作用の確實なる事、誘導電動機と同じく非同期速度に運轉し、起動特性は捲線型誘導電動機と同樣なる事、固定子一次なる故に高壓機として製作可能なる事、構造、取扱の簡單なる事、等の諸點に特徴を有するものなる事が述べられてある。

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