電氣學會雜誌
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殘留電荷の新しき一現象に就いて
清水 定吉
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1933 年 53 巻 544 号 p. 987-999

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抄録

殘留電荷を測定するに當り,充電側を接地し反對面を接地より切り離して電位計に接續する場合には,最初充電電壓と反對符號の電荷が蓄積されるが,或る時間を經過せば極大値に達し,其の後徐々に減少して零となり,途に充電電壓と同符號の電荷が生ずるかゝる現象は光軸に垂直並に平行に切り出せる水晶板,岩鹽,方解石,雲母,黒曜石,濾紙,透明石膏,カホリン,エボナイト等にて認められる。又試片の寸法,電極及び回路等を變化する場合にも同樣に現れる。充電電壓と同符號の電荷の蓄績は誘電體の残留電荷の機構の從來の考へに一つの新しき概念を與へる注目すべき現象である。故にこの性質を明かにする爲に光軸に平行に切り出せる水晶板を以つて,温度,充電電壓,充電時間,接地時間等の性質を組織的に檢べた。
誘電體の電氣傳導をイオン傅導と假定し,Diffusion,Mobility,Recombination等の考へを導入して説明を試みてゐる。最後にかくして導いた理論式と,觀測結果を比較對照して考察してゐる。

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