1936 年 56 巻 577 号 p. 915-922
直流コロナの濕度及び導線表面の状態に影響せらるゝ所を檢し,これを交流コロナの場合と對比した。
直流コロナに對する濕度の影響は,初期コロナに於て導線表面の微傷等が鋭敏に影響する部分に於ては,一般にコロナ損は濕度の上昇と共に増加する。これは交流コロナの場合と同樣であつて,導線表面の先在的尖點を核心とする水分の針端效果助長にある。コロナが進展して表面状熊の影響が微弱になつた後に於ては,直流コロナ損は濕度の上昇と共に減少する。これ空中の水分のイオン捕捉作用に依るのであつて,空間電荷の運動が導線の附近に限られてゐる交流コロナと異る所である。
導線表面の絶縁物の被膜は,コロナに先行する暗流放電に依る電荷蓄積のために,コロナ電壓を低下する作用ある事を述べ,被膜の絶縁耐力,抵抗等の影響を論じた。