1937 年 57 巻 593 号 p. 1208-1213
液體誘電體の電氣破壞を研究するに,從來行はれて居た如き電流-電壓曲線を基とするの全く不可なる事を明かにする爲,蒸溜水,水溶液等の電氣破壞を研究し,上記の考への正しい事を確認した。即ち液體中の電氣破壞は電流とは全く無關係のものであつて,破壞が相當電流の増加した状態で普通起るのは,電流が増加して破壞に導くものに非ずして,電流が増加するやうな電壓が加はれば,液體分子をイオン化して破壞となるものである事を明かにした。又諸種の液體中放電現象を分光學的に研究し,液體の破壞は全く純電氣的であり,電子に依り液體分子が解離,イオン化されて生ずるものである事を明かにした。