抄録
今までの道路照明は、路上障害物がシルエット視で見えるという前提条件のもと、経済性も考慮して所要輝度対比0.5を基本に設計が行われてきた。しかし、近年、照明器具を低位置化し、先行車背面を明るく照らして走行させるコンセプトで設計された新しい照明方式が提案されている。本方式では障害物が主に逆シルエット視で視認されるが、道路照明において逆シルエット視の視認性検討はほとんど行われていない。そこで、CGを用いて背景輝度が均一な道路照明条件下での視標の視認性評価実験を実施した。その結果、シルエット視の輝度対比0.5と等視認性となる逆シルエット視の輝度対比は背景輝度にかかわらず0.50∼0.65であることが分かった。ただし実道路では視標や背景が不均一であり、また道路灯のような発光体も存在することなどから、実際にはこれらの事項を考慮した逆シルエット視の所要輝度対比にて道路照明設計を行う必要がある。