抄録
次世代の高効率・長寿命白熱光源の一つとして,「クラスター光源」が期待されている.現在のクラスター光源の開発状況から,発光効率は約50 lm/W,寿命は約10,000 hと報告されている.この光源は,発光材料(クラスター形成物質)にタングステン(W)が用いられるが,これは白熱フィラメントとしてWが最も適しているためである.しかし,クラスター光源の開発においては,発光材料の発光効率や分光分布を解明する必要がある.クラスター光源の分光放射発散度は発光材料の分光複素屈折率によって決定される. 現在のところ,クラスター光源の動作温度である4000 K以上における発光材料の複素屈折率はえられていない.このような高温度における発光材料の複素屈折率の測定には,非接触で複素屈折率を測定可能なエリプソメトリー(偏光解析法)が有効であると考える.また,クラスター光源における発光材料は超微粒子状(数 nm)であるため,散乱の影響を考慮した測定方法を構築する必要がある.そこで,測定方法であるミー散乱エリプソメトリーについて検討し,測定装置であるミー散乱エリプソメーターを設計・構築した.