抄録
エッジ抽出は,画像処理における特徴抽出処理の手法として,根本的かつ重要な問題である.一般にエッジ抽出法では,雑音除去,勾配強度計算,エッジの追跡などのアルゴリズムを段階的に適用することによって高精度な処理を実現してきた.しかし,それぞれのアルゴリズムには種々のパラメータが存在し,それらのパラメータ値は一般に入力画像を参照して対話的に決定されているため,適切なパラメータ値の決定は困難である.本研究では輝度画像を対象として,雑音の抑止と勾配強度計算をともに行うことが可能な回帰面を利用した新しいエッジ抽出法を提案する.提案手法では,エッジ抽出結果を制御するパラメータは非エッジの割合を示す一つであり,簡易に設定が可能である.基本図形と自然画像を用いた実験の結果,固定したパラメータ値を用いた提案手法は,適応的にパラメータを設定したCannyオペレータより高精度なエッジ抽出を実現できることを確認した.