2015 年 44 巻 1 号 p. 58-66
糖尿病網膜症は失明を引き起こす可能性があるため,早期発見が重要である.本論文では,眼底画像から糖尿病網膜症の初期所見である毛細血管瘤を濃度勾配ベクトル集中度により自動検出する手法を提案する.前処理を行った後,緑成分濃淡画像で濃度勾配ベクトル集中度を計算し,動的しきい値処理により毛細血管瘤の候補領域を検出した.それぞれの候補領域からテクスチャ解析,画素値,及び形状などに基づく48種類の特徴量を計算し,候補領域をしきい値処理とSupport Vector Machineにより毛細血管瘤と偽陽性に分類した.眼底画像のデータベースであるROC(Retinopathy Online Challenge)データベースで性能評価したところ,検出率の平均値は0.395であった.提案手法は毛細血管瘤の自動検出に有効であると考えられる.