画像電子学会誌
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論文
リニアブレンディングを用いた裸眼3D映像表示への視差誘導パターンによる画質変動軽減手法
巻口 誉宗高田 英明吹上 大樹西田 眞也
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2019 年 48 巻 4 号 p. 497-505

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抄録

被写体を臨場感高く再現する映像表示技術として,運動視差を提示できる裸眼3D映像表示技術が注目されている.中でも複数の視点画像を提示する多眼方式は,複数人の同時視聴が可能なため幅広い応用が考えられる.しかし,多眼方式はなめらかな運動視差の実現のために膨大な視点数を必要とし,実用化に向けては解像度低下や装置の大規模化,複雑化が大きな問題となる.我々はこの問題を解決するために,リニアブレンディングと呼ばれる視覚の知覚メカニズムに注目した.リニアブレンディングでは,隣り合う視点画像を重畳して提示することで観察者に中間視点画像を視覚的に補間させるため,視点数を大幅に削減できる.一方で,リニアブレンディングの中間視点では隣り合う視点画像が重なることで画質が劣化し,視点移動に伴う画質変動が生じる.本論文ではこの画質変動に対し,隣り合う2視点の画像が重畳して知覚された際に2重像が生じないように視点画像を生成するHidden Stereoの原理に基づく画質変動軽減手法を提案した.また,被写体の全周囲360度の視点画像に対する画質評価を行い,提案手法によって視点移動に伴う画質変動を大幅に軽減できることを示した.

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© 2019 一般社団法人 画像電子学会
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