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医療と社会
Vol. 16 (2006) No. 1 P 73-83

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http://doi.org/10.4091/iken.16.73

特集論文

 本稿では手術・麻酔領域における有害事象発生の現況,手術室で発生しやすいエラー,安全管理に向けた最近の手法を紹介するとともに,インフォームド・コンセントを含めたリスク・マネジメントについて概説する。米国,オーストラリア,ニュージーランドにおける調査研究によると,手術に関連した有害事象は全有害事象の24~66%を占めている。手術室で発生しやすい予防可能なエラーとして,患者・部位の間違い,異物残存,薬剤誤投与が挙げられる。これらを予防するためには,より包括的な確認システムの構築が必要と思われる。また,手術室の職場環境は独自の特徴を持ち,航空業界との共通点が多いといわれている。航空業界から学んだ安全管理の手法として,インシデントレポートとCRM(Crew Resource Management)について述べる。一方,手術・麻酔のリスク・マネジメントにおいては,インフォームド・コンセントおよび患者とのリスク・コミュニケーションはきわめて重要である。しかし,日本においては麻酔の説明内容の標準化および説明内容の記録は十分ではなく,今後の課題と思われる。手術・麻酔のリスク・マネジメントにおいては,原子力や航空など他のハイリスク産業から学ぶ点が多いと思われ,医療に適した新しい手法の開発と現場での活用が期待される。

Copyright © 2006 公益財団法人 医療科学研究所

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