医療と社会
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研究論文
オリエンテーションビデオを用いた家庭でのプレパレーションが手術を受ける幼児に与える効果
-ランダム化比較試験による検討-
涌水 理恵上別府 圭子
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2006 年 16 巻 2 号 p. 183-200

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抄録

 鼠径ヘルニア根治術を受ける3~7歳の子どもと保護者を対象に,家庭でのVTR視聴をメインとしたプレパレーションの有効性をランダム化比較試験により検証した。入院前の時点で,2群への無作為割り付けを行い,対照群(n=31)には従来のケアすなわち「外来での術前オリエンテーションビデオ(以下,VTR)の1回のみの集団視聴」を行い,介入群(n=28)には従来のケアに加え「各家庭におけるVTRの反復視聴」を小冊子に沿って子どもに行うよう保護者に依頼した。経時的な子どもの心理的混乱を主要アウトカムとし,介入前1回,周手術期2回,退院時1回,退院後3回(退院後1ヶ月の時点まで)の計7回,測定した。周手術期のバイタルサインや,親の不安も評価した。
 結果,「子どもの心理的混乱(代理評価)(p=0.01)」,「麻酔導入時の協力行動(p=0.04)」,「周手術期の体温(p=0.003)および心拍数(p=0.02)」において介入効果が得られた。
 一方で,介入の有無に関わらず,退院後の子どもの退行行動は問題を呈したことから,医療者は,術前のみならず術後においても,子どもと保護者の精神面のアセスメントとフォローを行う必要性が示唆された。
 今回,VTRの反復視聴をメインとする家庭でのプレパレーションによって,子どもの周手術期の心理的混乱や生理反応が緩和された一方で,子どもの退行行動および母親の不安に関しては介入の有効性が明らかにはならなかった。

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© 2006 公益財団法人 医療科学研究所
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