医療と社会
Online ISSN : 1883-4477
Print ISSN : 0916-9202
ISSN-L : 0916-9202
研究ノート
individual based modelを用いての公衆衛生的対応能力を明示的に考慮した天然痘対策の評価
大日 康史
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 16 巻 3 号 p. 275-284

詳細
抄録
目   的:天然痘を用いたバイオテロに対する初期対応行動計画である天然痘対応指針をindividual based modelを用いて評価する。
材料と方法:人口1万人の都市を管轄する保健所を想定し,そこのショッピングモールにおいて,天然痘の曝露を想定する。初期曝露人数,対応開始のタイミングあるいは動員される要員数毎に,追跡接種と集団接種の成績を比較する。
結   果:シミュレーションの結果,初発曝露者数が増加すると,要員が少ない場合,追跡接種の効果が急激に低下し,要員が多い場合,追跡接種の効果は大きくは低下しない。他方で,集団接種の効果は初発曝露者数が増加しても,平均的には変化しないことが明らかにされた。
考   察:追跡接種は集団接種よりも効果的であるのは,対応開始が早く初発曝露者数が要員数の2倍程度までで,それ以上に初発曝露者数が増えると追跡接種は事実上効果的ではないと結論づけられる。この基準で,投入する要員数を決定することが重要となる。そのためには,迅速に曝露量を推定する統計学モデルが必要不可欠となる。
著者関連情報
© 2006 公益財団法人 医療科学研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top