医療と社会
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研究ノート
戦後イギリス地域医療の展開
―1948~74年のバーミンガム市を事例として―
白瀬 由美香
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キーワード: 地域医療, 連携, NHS, 三分立構造
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2007 年 17 巻 3 号 p. 315-327

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抄録

 1948年に発足したイギリスの医療保障制度National Health Serviceは,予防・治療・リハビリテーションのすべてを含む包括的なサービス体系を備え,租税を財源として,無料ですべての人にサービス提供するという制度枠組みを,現在も維持している。
 本稿は,NHSが初期の制度枠組みの下で運営されていた1948年から74年までを扱い,バーミンガム市の事例をもとに地域医療の状況を検討した。NHSは一次医療と二次医療の明確な機能分化を実現し,地域保健を同じ制度内に位置づけたものの,その組織は基本的に戦前の医療システムの枠組みを引き継いでおり,一般医・病院・LHAという3つの部門が分立する構造であった。無料の医療によって喚起された急速な需要の増大,および医療専門職の不足という問題が早い時期から浮上し,在宅医療を推進すること,サービス部門間の連携を図ることが課題となった。
 連携への取り組みに関して検証した結果,バーミンガム市では,制度運営上は各部門間で委員を送りあうという取り組みをしていた。さらに,臨床において医師やLHA職員の連携を進めるため,職務の兼任制度を設けることや,医療機関に保健師や地区看護師を配属するなどの試みを実施していたことが明らかになった。こうした連携の社会的・経済的背景については,今後もさらに考察を進めていくことが必要である。

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© 2007 公益財団法人 医療科学研究所
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