医療と社会
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特集:健康格差の社会経済的要因
社会階層とパーソナル・ネットワーク
学歴・職業・所得による格差と性差
原田 謙
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2012 年 22 巻 1 号 p. 57-68

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抄録

本研究は,階層的地位(学歴・職業・所得)が領域別および距離別パーソナル・ネットワークに及ぼす影響およびその性差を検討することを目的とした。データは,東京都,神奈川県,埼玉県,千葉県内の30自治体に居住する25歳以上の男女4,676人から得た。
分析の結果,第一に,学歴が高い者ほど友人数が多く,ネットワーク総数に占める親族ネットワーク比率が低かった。とくに女性では,この学歴による友人数の多寡がネットワーク総数の多寡にもつながっていた。第二に,専門・管理職の者ほど仕事仲間数が多かった。さらに専門・管理職の女性は,友人数も多く,隣人数が少なくても,差し引きするとネットワーク総数が多くなった。第三に,所得が高い者ほど仕事仲間数が多く,ネットワーク総数が多かった。さらに男性では,所得が高い者ほど親族数も多く,所得がネットワークに及ぼす影響は男性において顕著であった。第四に,学歴が高い者ほど,そして所得が高い者ほど中距離および遠距離親族・友人数が多かった。つまり学歴と所得がネットワークを広域化する資源であることが示唆された。

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© 2012 公益財団法人 医療科学研究所
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