医療と社会
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特集:ヘルスケアにおける連携(I)
ヘルスケア分野における多職種・多機能間連携の促進ならびに阻害要因への対応
―構造的ミスマッチと多様性のマネジメントならびに連携と健全経営との共進的発展―
中村 洋
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2013 年 22 巻 4 号 p. 329-342

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抄録

多職種・多機能間連携の重要性が高まっている。その背景にあるのは,我が国における高齢化の進展による医療/介護ニーズの高まりと今後本格化する生産年齢人口の減少であり,人材の有効かつ効率的な活用が求められている。別の背景としては,日本の財政収支が先進国最悪の状況となっていることが挙げられる。財源の余裕のない中,医療機関/介護施設における連携の発展はミクロレベルで診療報酬増に頼らない経営を可能にする。そのことがマクロレベルにおいて,日本経済の負担能力を超えた医療費上昇圧力の抑制につながる。
しかし,多職種・多機能間連携を機能させることは簡単ではない。そこで本研究は,連携の進展を阻害する要因ならびに促進する要因について,事例分析を基に,以下の3点から考察を行った。
第一に,多職種・多機能間の連携を阻害する構造的要因(ミスマッチ)を大きく三つ(連携のタイプと取り組み手法〔組織〕のミスマッチ,人材のミスマッチ/不足,発展段階のミスマッチ)に分け,それぞれの対応方法を考察した。
第二に,多職種・多機能間の連携のタイプを,「必要とされる専門性」,「医療/介護サービス関係者間の関わり度」,「利用するサービスの種類」,「患者/利用者の分布」から類型化し,それぞれのタイプでの成功に向けた鍵の考察を行った。
第三に,多職種・多機能間連携を促進させる要因として,有効で効率的な多様性のマネジメントのあり方と,連携と健全経営の共進的発展について考察を行った。

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© 2013 公益財団法人 医療科学研究所
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