医療と社会
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特集:人生の最期をどう生きるか,どう支えるか,どう迎えるか
記者として,がん患者としての視点から
本田 麻由美
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2015 年 25 巻 1 号 p. 111-124

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抄録

人生の最期をどう迎えるか。「最期までがんと闘う」「自宅で自然な形で逝きたい」「尊厳死を認めてほしい」——など,様々な選択があるのは当然だ。34歳で乳がんが見つかり,局所再発も経験した私は,当時は「1日でも長く生きるために闘う」ことしか考えられなかった。だが,10年たって,さらにこの先,年を重ねた場合にどうしたいのか,まだ確固たる意思を持ち合わせてはいない。「その時」を迎えた年齢や家族状況によって,私の「意思」は異なるかもしれない。超高齢・人口減社会を迎え,高額な治療費をどうするかといった社会としての経済的制約もあるかもしれない。認知症など判断能力が失われた中で死を迎えなければならないかもしれない。多死時代の到来を目前に控え,「尊厳死」など何らかのルール化が必要ではないかと考える。だが,まずは,できるだけ苦しまず,自分や(もし居れば)家族が納得できる形で「尊厳ある死」を迎えられるようにするため,「自分はどうしたいのか」を考え,家族や周囲の人に伝えていけるような支援体制を築く必要がある。

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© 2015 公益財団法人 医療科学研究所
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