医療と社会
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特集:人生の最期をどう生きるか,どう支えるか,どう迎えるか
地域の中でホスピスケア(緩和ケア)
ケアタウン小平チームの取り組み
山崎 章郎
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2015 年 25 巻 1 号 p. 87-95

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抄録

ケアタウン小平チームは2005年10月,地域の中でがん,非がんを問わずに緩和ケアを提供するべく,その活動を開始した。我々が目指したのは,在宅での緩和ケアである。当然のことながら,在宅医療=在宅緩和ケアではない。
チームは,緩和ケアの理念を共有した訪問診療,訪問看護,居宅介護支援事業所,医療ニーズの高い利用者も支えるデイサービス,その他配食サービス等在宅療養を支える事業所が一か所に集約したものである。それは,施設ホスピスの経験から,質の高い緩和ケアのためには,在宅といえども多職種がいつでも顔と顔を合わせることのできるチームが必要であると考えたからである。
2015年10月で丸10年になる。本稿では,その取り組みの実際について報告するが,地域とのつながりで言えば,その過程で,在宅遺族会が誕生し,チームの活動に参加するボランティアの中には,それらご遺族も参加するようになっている。さらには,宮崎から発祥したホームホスピスの取り組みが,2014年4月より,チーム訪問エリア内で開始されている。
全人的ケアである緩和ケアの理念は,医療現場のみならずに,地域の中の様々な場面で活用できる普遍的ケアの概念である。それは孤立社会と言われ始めた地域の中で人々をつなぎ,地域再生の理念にも成り得るものと確信している。

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© 2015 公益財団法人 医療科学研究所
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