2016 年 26 巻 1 号 p. 25-35
わが国の医療におけるビッグデータの代表的なものはDPCとNational database(NDB)である。1年間で前者は1,100万件の退院サマリと医療行為の詳細データ,後者は医科レセプトのみで17億件以上のデータを集積している。情報技術の進歩によりこうしたビッグデータの加工が可能となり,また国の医療政策としてもこうしたデータの活用が促進されつつある。詳細さと悉皆性においてこれらのデータは国際的にも非常に優れたものであり,その活用が進むことでhealth service researchの発展が期待できる。このような研究の推進は我が国の医療政策の実効性を高めると期待される。そのためにはこのような医療ビッグデータを活用できる人材の育成が急務である。