医療と社会
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特集:医療ビッグデータをめぐる現状と課題
電子診療情報を活用した新たな医薬品安全性評価に向けた取組みの現状と課題
宇山 佳明
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2016 年 26 巻 1 号 p. 73-83

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抄録

近年,規制当局において,電子診療情報データベースの活用が増加しつつある。医薬品医療機器総合機構(PMDA)においては,平成21年度からMIHARIプロジェクトと呼ばれる新たな取り組みを開始し,薬剤疫学的手法を用いた医薬品の安全性評価を実用化するための検討を進めてきた。MIHARIプロジェクトにおいては,多くの試行調査を実施し,薬剤疫学的手法を行政的な目的で活用するための体制構築を進め,また,日本で利用可能な電子診療情報データベースの特徴等を明らかにしてきた。さらに平成23年度からは,MID-NET(医療情報データベース基盤整備事業)と呼ばれる新たな取り組みを開始し,日本における大規模病院診療情報データベースの構築を進めている。このような取り組みを通じて,PMDAは,薬剤疫学的手法を用いた医薬品の安全性評価に関する規制当局としての経験を集積することができ,これらは安全対策の質の向上に寄与するだけでなく,今後の日本における電子診療情報のさらなる標準化あるいは活用を促進することにも役立つものと考えている。
本稿では,MIHARI及びMID-NETプロジェクトに関する背景やこれまでの取組み,そして今後の活動の方向性についてご紹介したい。

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