医療と社会
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研究ノート
医療従事者における自己犠牲志向と部門間連携が 新機器受容に及ぼす影響
奥野 友理子本屋 愛子高嶋 克義徐 恩之
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2016 年 26 巻 2 号 p. 167-178

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抄録

本研究の目的は,病院組織における新たな医療機器の導入に対する医療従事者の態度が,医療従事者の自己犠牲志向の程度と病院組織の部門間連携の状況によって影響されることを明らかにすることである。

本研究では,病院組織における新機器の導入に関する問題をイノベーション受容の視点から捉え,医療従事者の自己犠牲志向と部門間連携が新機器受容を高めることについての仮説を導出したうえで,医療従事者を対象とする質問票調査データに基づく仮説検証を実施した。その結果,医療従事者の自己犠牲志向が低い場合においては,部門間連携による新機器受容への正の影響が強まるものの,自己犠牲志向が高い場合には,その影響が弱くなることが確認され,医療従事者の自己犠牲志向の程度が部門間連携と医療従事者の新機器受容の正の関係を抑制する働きをすることが示された。この結果から,自己犠牲志向が高い場合には,医療従事者が他部門を巻き込むことへの配慮が高まり,新機器受容の意向を抑制することが推測された。このことに基づけば,病院組織の新機器導入を進めるためには,医療従業者の心理的要因を考慮する必要があり,部門間連携か自己犠牲志向の一方を高めるような戦略が有効であるという実践的インプリケーションを導くことができる。

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© 2016 公益財団法人 医療科学研究所
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