2019 年 29 巻 1 号 p. 33-44
日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医である著者が都市部の中規模病院の施設長になり,その後取り組んできた内容を紹介する。
地域の連携病院として,症状に関わらず診療する総合外来を開設し,かかりやすさを追求した結果,受診患者件数の増加をもたらしている。また「高齢者診療に強い病院」を病院の方針に掲げ,高齢者委員会を開催し,「ユマニチュード」の普及,せん妄の予防介入,ポリファーマシーに対する介入,アドバンス・ケア・プラニングの普及に取り組んだ。その結果,高齢入院患者のせん妄発生率の低下(14%→9%)を達成することができた。
さらにWHO(世界保健機関)の提唱するHPH(ヘルス・プロモーティング・ホスピタル&ヘルス・サービス)ネットワークに加盟し,地域住民のヘルスプロモーションを目的に,スクエアステップの実施,小学校での防煙教室の開催などを行った。
総合診療医がスタッフ・管理者となることで,外来・入院ともより幅広い,医療の提供のみならずケアも意識した活動を行うことができ,地域の健康増進活動を含め,地域包括ケア時代に求められる中小規模病院の役割を推進することが可能となる。