医療と社会
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研究論文
介護保険サービス限度額内で通所リハビリテーションの利用が難しい外来維持期リハビリテーション患者の実態と特性
光武 誠吾 石崎 達郎土屋 瑠見子吉江 悟飯島 勝矢田宮 菜奈子
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2022 年 31 巻 4 号 p. 573-582

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抄録

2019年4月以降,要介護者に医療保険で提供される算定日数を超過した外来の運動器疾患・脳血管疾患等リハビリテーション(外来維持期リハ)は,介護保険制度の通所リハビリテーション(通所リハ)等に移行されることとなったが,介護保険利用限度額(限度額)内で通所リハを利用できない者が存在する可能性がある。本研究では,限度額内で通所リハ利用が難しい外来維持期リハ患者の実態と特性を検討する。千葉県柏市の医療・介護レセプトの連結データ(2012~2013年)を用いて,外来維持期リハ患者119名を対象とした。限度額から実際の利用額を差し引いた余剰額/月,同市の通所リハの利用額の中央値を通所リハ利用額/月とした。余剰額から通所リハ利用必要額を除し,0未満の場合に通所リハ利用が難しい者とした。限度額内で通所リハ利用が難しい者は35名(29%)だった。通所リハ利用が難しい者の特性を一般化推定方程式で検討したところ,77歳以上(Adjusted odd ratio(AOR):5.306,p-value<0.001),脳血管疾患・廃用リハを受けていること(AOR:4.708,p-value<0.001),日常生活自立度が軽度であること(AOR:2.435,p-value=0.009)が挙げられた。高齢や脳血管疾患の有病は,心身機能低下の重症化や転倒リスクを高めるため,通所リハ利用が難しい者の心身機能等を継続的に把握する必要がある。

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© 2022 公益財団法人 医療科学研究所
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