医療と社会
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診療所の受診先選択に関する慢性疾患患者の意思決定プロセス
杉本 ゆかり中村 博
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論文ID: 2020.003

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抄録

【背景・目的】

本論文は,慢性疾患患者における初回受診および継続受診の意思決定プロセスに関する構造と影響要因を抽出し,仮説を生成することを目的としている。

【方法】

調査は診療所の患者9名を対象とし,半構造化面接を実施した。分析手法はグラウンデッド・セオリー・アプローチを使用した。また,意思決定プロセスの構造の説明では二系統の思考スタイル(直観的思考と熟考的思考)を援用した。

【結果】

分析の結果,初回受診時において,患者は距離や設備などの「物理的条件」と身近な人の「紹介・評判」によって診療所を選択していた。また,継続受診時には,病気や治療の「問題の解決」と「私の理解者」「医師への感情」「他者の評価」「医師の人間性」「コミュニケーション」が「医師への信頼」に影響を及ぼし,「医師に任せる」感情が形成され,その結果,継続受診が行われていた。

【考察】

初回受診時では,物理的条件やクチコミなどの熟考的思考により診療所が選択されたが,継続受診時では直観的思考である「私の理解者」がトリガーとなり,「医師への信頼」によって継続受診を行っていた。

診療所は,患者による初回受診時の診療所選択と継続受診時の意思決定では要因が異なることを認識してマネジメントを行っていくべきである。

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